ゴルフシミュレーターの現状と未来

日本におけるゴルフシミュレーターの歴史は、まだ3年ほど。いわゆる新興市場といえ、若年層や女性のゴルフ参加率が高まったことで、ゴルフバーなどインドア施設を中心に需要の高まりが確認できる。しかし、いまだ確固たる方向性を見いだしていないのが現状だろう。
最大の理由は多様な活用方法であり、多様な将来の可能性が方向性を読みにくくしている。それ自体はプラス材料といえるのだが、同時に多くの不安定要因も内包している。

ゴルフシミュレーターの製造販売を生業とするメーカーは国内に15社。韓国メーカーのソフトを活用したり、その日本法人だったり、または国内企業が自社開発に踏み切ったりと、過去2年ほどで競争が激化している。基本的には「装置産業」だけに、他社より早く設置施設を獲得し、新たなソフトの追加などでメンテナンス収益に視野を入れる必要があった。
また、設置シェアが向上すれば、より多くのゴルファーが「ネット対戦」を楽しめるなど、会員化に向けたサービスの充実も期待できる。プログラミングされたゴルフ場への誘客など、リアルとバーチャルの融合も先行企業に優位性があるため、雪崩れ込みが起きたのもうなずける。

矢野経済研究所の調査によると、国内市場で活用されているゴルフシミュレーターは約400台前後。販売金額で約20億円。平均単価は500万円前後となり、工事費を加えても1台当たり600万円前後のビジネスになる。その殆どが首都圏や政令指定都市など大都市に集中しており、大半がゴルフバーの設備として活用されている。ブリヂストンスポーツの調査によれば、ゴルフバーの認知度は68.3%。男女ともに同率の約7割がその存在を認知している。面白いのは、年代によって興味の度合いが極端に異なること。「知らない・興味なし」を合わせた無関心派は、男性60代が81.7%、女性60代は91.8%にも達しており、バーのイメージと敷居の高さが障害となる。
一方で、今後のゴルフ市場全体を牽引する30代は男女とも強い興味を示している。「経験済み・興味あり」を合わせると男性69.1%、女性66.4%で、20代男性も70.1%を記録した。デート感覚で気軽に楽しめそうなことが、興味の背景にありそうだ。また、ゴルフシミュレーターの活用例はゴルフ関連施設だけではなく、マンションを含めた不動産、企業の福利厚生施設、ホテル、フィットネスクラブ、カラオケボックスとの併設など複合施設が多い。特にチェーン化が一段落したフィットネスクラブは、メタボ撲滅による「特保ビジネス」の追い風から成長性が期待され、また、差別化コンテンツのひとつとしてゴルフシミュレーターに注目するケースが多い。
その一方、世界不況の影響でビジネスプランの頓挫も目立ちはじめている。問題は、まったく新しい市場だけに明瞭なビジネスプランが提示しにくいことに加え、ビジネスサンプルの少なさから推計が困難なこともある。たとえば、現在主流のゴルフバーも収益モデルが確立せず、飲食業からの参入者は回転率や利益率に従来との違和感をおぼえることも多いだろう。

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